夏魚、空を行ってみる

アニメ好きによるアニメ感想、つぶやき、空想など

劇場版 キノの旅『病気の国』感想 住人全員がしあわせな国なんて、ない

劇場版の第2作、2007年の公開作品だそうです。
病気で入院中の少女との、ほのぼのとした交流、と思いきや。
あ、甘かったですね;
冒頭で、何もない荒野の小さなボロい小屋から出てきたキノ。「ん? そこ、何? キノ、トイレにでも入ってたの?」などと呑気に思ってしまった自分がうらめしい……。
※ネタばれ前提です。

実は――あの後、キノは無事、ということだったんですね。
キノが急に襲撃されるとか、もういちいちハラハラしてしまいます。うう、心臓に悪い。でも、それってキノの旅では多々あることのようですね。

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ちなみに、キノは、第1作目(2003年版)よりも、少しは成長している感じ。10代半ばくらいには見えるかな?
劇場版の第1作『何かをするために -Life goes on-』は、キノはまだお師匠さんのところで修行をしていた頃の話だったので、この劇場版の第2作『病気の国 –For You-』では、「おお! ちょっとは大きくなってる!」と思ってしまいました。
が、そんな画に完全に油断してた;
で、でも、原作本はまだ続いているというから、キノは旅を続けている、ということで。いや、でも、もしかしたら、ある時から、実はキノ&エルメス編はなくなっていて、その他の主要登場人物のみの話になっていたりして?!などと疑ってしまったり。さすがにそれはないか。いや、ありうる? でも、キノよりシズさんの心配したほうがいいかも;

摩天楼の街のある国?

何もない荒野の中の地下に、突然、現れた摩天楼の街。
シールドに覆われているし、なんだか空気のない惑星に建てた基地みたい。街全体が、消毒液のようなにおいのする、病院みたいなところ? 普通に荒野を走ってきたキノとエルメスは、最初、バイ菌扱いみたいに洗浄&消毒されちゃってたな。しかも、ずっと見張られてる?

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そこで知り合った、病気の可愛らしい少女が、“荒野に住んでいるという少年と文通している”という話が出てきた時には、『すぐに、病気が治る薬が開発されて、少女の病気が治り、荒野に行って、少年と再会する』という展開だったり?とワクワクしてしまった、そんな甘々な予想は、のちに鉛の塊となってブーメランのように返ってきてガツンとやられてしまった、という感じでした。まさに、不意打ちの足蹴り?!
そ、そうだった、これは『キノの旅』の世界だった……。
一瞬先は闇、の世界。
今回、キノは、少女の内緒の頼みごとを引き受けて、律儀にも、少年が住んでいるという荒野へ行ってしまったのが、裏目に出てしまったか。
滞在先のホテルのオーナーからホテル代その他をタダにしてもらったという他に、同じ年くらい(ちょっと年下か?)の病気の少女との交流、少女の彫った『鳥』のブローチ、ということで、動いてしまったのかな。
中盤までは、摩天楼の街を見て回ったり、ホテルのオーナー夫婦から全部タダにするから「病気の娘に旅の話を聞かせてほしい」と頼まれて、キノ、すっごく楽しそうに少女に話していたし。「その時、男たちに囲まれて銃を向けられてね、危なかったんだよね、あはは~」みたいな感じで、ノリノリで話してそうだったな。
その後、少女が文通の話と、ブローチを渡してほしいという話が出てきて。少女と話をするキノが、とても穏やかでやさしそうな口調だったのが印象的でした。たまには、このくらい感情を出してもらったほうが、こちらも感情移入できます(でもそうするとこちらの身が持たない……という;)。
実物の『鳥』を見たことがない、ずっと病院で入院生活を送る病気の少女。少女が彫った『鳥』も、なんだか「う~~ん?」という出来ばえで、ちょっとせつなかったり。そうか、摩天楼の街には鳥がいないのか。
キノに頼みごとをした少女に、全く悪気がなかった、というのも、なんとも言えない……。むしろ、少女のけなげさ、必死さが際立っていたし。でも、少女の頼みごとを引き受けた結果、キノはこの国の真実を知らされ、あんな目に遭ってしまったわけで……。しかも、この国の真実、少女にとっては酷い話で……(少女が知らされないままなことを願います)。
どんだけ救いのない話なんですか……。

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その後、荒野にて

キノが摩天楼の街を出て、少年を訊ねて荒野へ行ったけど、そこで警備隊という男に止められ。
警備隊の男が無線で「ここには不審者はいない」「もう国境を出た」などと言った時点で、「ん? なんか変だな?」と思って心構えしておいたほうがよかったのか。と、後から思ったけど(遅かった;)。
キノは、荒野の小屋から、エレベータで地下へと案内され、“国の秘密”を聞かされ。
人体実験の話、実はローグ少年は……という話もかなりの衝撃だったけど。だって、摩天楼の街に住んでいる人たちは、荒野に住む人たちのことを、“エリート”だとか“太陽に当たることができて羨ましい”とか思ってるんでしょ?!
そして、その後の、いやまさか――!!という展開。えーーー?!と思わず息を呑んだり。
と、いうことは、警備隊の男は、小屋から地下へと案内した時から、キノのこと口封じとして殺そうとしていたのか?
でも、それなら、「届け物は預かります、渡しておきます」と言って、キノを出国させればいいのに。と、思ってしまったけど、でも、キノは誰もいない集落を見てしまったし、もし口外されたら困る、と思われてしまったのか。しかも、旅人だから殺してもかまわないと思われたか。
警備隊の男の急襲をかわしたキノ、体勢を立て直し、銃撃戦に。緊迫した空気。でも、こうなると、警備隊の男のほうの身が案じられます。一応、戦闘の訓練は受けている人みたいだけど。少なくとも、殺気は消していたっぽいな?
でも、キノを甘く見てたな?
どうする、キノ?! 自己防衛として男を殺す?! それとも?!
鳴り響いた銃声。

その後

病室の少女のもとに、手紙が。
そこに書かれていたのは。
と、この手紙、警備隊の男が書いたものかな?
内容は、「ローグ少年は死んだ」ということだけで。
「実は人体実験で~~」ということまで書いたのかな?と最初は思ってしまったけど、いや、キノを殺そうとしてまで守ろうとした国の秘密までは書かないか、と思い直し。
それに、そんなことを病気の少女が知ったら……と思うと。残酷すぎて、あの苦悩していた警備隊の男がそこまで書くとは思えないし。
少女が先程、飲んだ薬は、実は、ローグ少年たちの命を犠牲にして造られた薬だったわけで……いや、それを少女が知るなんて、あまりにも……。

ということは、キノは、警備隊の男の、命までは取らなかったのか。少女に返事を書かせるために、とか?
ネット情報でちらっと見かけたのですが、この話には後日談があるそうなので、キノはあの時、警備隊の男は殺さなかったのだな、と。
あの時、取り出したのは、左手で『森の人』の銃だったし。
と、いうのも、銃については全く知識がないので、せめてキノが持っている銃だけでも、とネット情報を見たりしました。
ええっと。メモメモ。
右腰に持っているのが『カノン』、キノの主力の銃で、威力が高い。
左腰の後ろに持っているのが『森の人』、殺傷能力は低いけど、精度は高く、連射可能。
シロウト見解ですが、あの時、もし警備隊の男の命まで取ろうとしていたら、キノは右手で『カノン』を取り出したはず。でも、キノは左手で『森の人』を取り出したから、男の命までは取らずに、男の武器をふっ飛ばしたり、男の足を撃って足止め、くらいかな?とか。
そもそも、銃器それぞれに名前が付いてるのか!と思ったくらい。愛犬や愛車に名前を付けたり、代々のケータイに“○○ちゃん”と名前を付けたりするのと同じか。え? ちょっと違います?

ちなみに、もう『森の人』を持っているということは、キノは『優しい国』に立ち寄った後なのか、と今さら気付いたり。『優しい国』は、2017年版や第1作目(2003年版)共に、最後のほうの話だったので、「あれ? そういえば、第1話からキノは『森の人』を持っていたな?」と、時系列がバラバラだったことに今さら; でも、ということは、『森の人』を「こいつに旅をさせてやりたい」からと譲ってくれた“あの人”はけっこう前に既に……ということにも今さら(泣)。
『森の人』は、キノと共に旅をしています……“旅をする銃”、なんだかいいですね。しかも、キノはかなり重宝してるみたいだし。
おおっと、かなり話がそれました。

あとは、旅人の有利な点は、「武装能力がどのくらいか、行く先々の国の人たちには知られていない」ことで、その点では、キノは有利だな、と思ったり。でも、逆に言えば、旅人の不利な点は、こんなふうに、簡単に命を狙われてしまうことで。旅人なら、音信不通になっても捜索願とか誰も出さないだろうし、なんなら帰る場所もないし、自分のことを知っている人もへたするといないわけで(お師匠さん、長生きしてください!)。
そういえば、ローグ少年一家も、“親類がほとんどいない、貧困層”だから、人体実験として選ばれた、という話も出てきたので、親類とかがいなかったり、貧困だったりすると、酷い目に遭う確率が高いのだな、とか思ったり。それは現実も同じで、世知辛い世の中。おそらく、そのような見えない階層みたいなものは、生まれた時にある程度は決まっているのだろうな、とか。裕福な階層の人は「周りの親類や友達とかにそんなに苦労してる人なんていない」からと、貧困がどういうことか一生分からないままでいられたりするんだろうな、とか。
あと、“旅人”は、定住しているわけではないから、ある意味、気が楽だけど、ちゃんと自己防衛ができないと、トンデモナイ目に遭う、ということで。いろいろ考えさせられます。

ラストには、旅を続けるキノ。
無事でよかった……。
次に行くのはどんな国がいい?とエルメスに聞かれたキノ。
「住人、全員、しあわせな国がいい」。
エルメス、「現実を見ない旅人は、しあわせになれないよ!」。なんだか直球っぽいな。ちょっと刺さる感がするな。
そういえばエルメス、警備隊の男が乗っていた乗り物に、しきりと話しかけていたけど、それ、喋らないタイプなんじゃ……。
そんなエルメスが、かわいいとさえ思うようになってきた。
でも、最初に警備隊の男から声をかけられた時に、エルメスが、「届け物をしに来た」とかペラペラと喋らなければ、もしかしたらキノは命まで狙われるはめにはならなかったのでは?と思ったり。キノが、不審に思いながらも不穏な気配を察知して、「ちょっと迷ってしまいました」とか何とか言って、そのまま国を出てしまえば、何も起きなかったのでは?とか。
このー、エルメスのお喋りー!!
まあ、結果は同じでしたかね。

旅は続きます。てか、続いてますよ……ね?(ちょっと不安)

❰おわり❱