夏魚、空を行ってみる

アニメ好きによるアニメ感想、つぶやき、空想など

劇場版 キノの旅『何かをするために -Life goes on-』/『塔の国』感想

劇場版の第1作、2005年公開の作品だそうです。
10年以上前の作品なので、「ここはどういう意味?」「これは、こういう解釈でいいのかな?」などと思って、ネット検索してみても、あまり情報がないので、困りもの。
原作本、読もうとするけど、なんだかコワくて、なかなか手が出ません。いまだ未読。

『大人の国』おさらい

『何かをするために -Life goes on-』の話の前に、『大人の国』の“大人のキノさん”についてちょっとだけ。
第1作目(2003年版)の第4話『大人の国』を観る限り、「そうか、やっぱり、キノさんは、ああいう行動取るしかなかったんだな」と改めて思った。
キノさんと父親との距離はほとんどなかったし(2017年版では、もうちょっと距離があった感じ)、父親は包丁を持っていたのを直前まで隠していたし。
しかも、父親は、本気で少女を殺そうとしていたんだな、ということが伝わってきて、やるせなさも感じました。
キノさんは、あの場で、“娘を本気で殺そうとしている父親に憤りを覚えて、思わず取ってしまった行動”という感じがしました。少女を助けようとかではなくて、もう脊髄反射的な行動だったのかな、とか。その後、少女が逃げ出せるかどうか?その後、少女がどう生きていくか?などは考える余裕もなかったと思う。
でも、あれじゃあ、少女は「キノさんにかばってもらった」と思ってキノさんのことを恩人だと思うだろうし、キノさんの家族(母親)に罪悪感を抱いてしまうのも仕方ないかな、と。
でも、果たして、『大人の国』の側が、成り行きとはいえ結果的には殺害してしまったキノさんの訃報を、身元を確認したりして、わざわざキノさんの家族(母親)に知らせるだろうか?という疑問が。
なので、この話に出てきた、キノさんの母親という人物が、そもそも本当に実際に母親なのか?という疑問がありました。
お師匠さんも、「あなたの恩人の母親がそこに住んでいる」と、はっきりとは、少女には言っていなかったし。
と、そんな疑惑がそもそもあっての、「少女が恩人のキノさんの故郷を訊ねる」という話だったので、真相はどうなんだろう?と。

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お師匠さんによる“旅の試用試験”みたいなもの?

一見すると、やはり、お師匠さんが、少女がたとえ『恩人のキノさんの母親』でも、身の危険があれば撃ち殺せるかどうかを試したのでは?と思ってしまいました。
恩人のキノさんに命を救われたと思っている少女が、その恩人のキノさんの母親を殺すことになるとは、もうどうやっても救いのない話で、でも、恩人のキノさんの母親に包丁で殺されそうになった時に、「お気持ちは分かります、それであなたの気が済むなら、どうぞ私を殺してください」と言って少女が殺される、ということになるはずもないよな?と思ったり。いや、そこは、“僕がキノだ!”とはっきりと自覚して、ちゃんと反撃しないと。

「あなたさえいなければ――!」(キノさんの母親)
「この出来損そこない!」(少女の親)
キノさんの母親という女性に言われた時に、親に殺されそうになった時の言葉を思い出してしまった、少女。せつなすぎるな。
しかも、キノさんの犠牲でここまで生きてこられて、罪悪感を感じていて謝りに来たというのに、キノさんの母親に命を奪われようとしているなんて。理不尽すぎる。何より、恩人のキノさんが報われない。
生きなきゃ!って思うよね。自分の命を守り通して、生きてやる!
自分の命を、他の誰かに奪われてたまるか!

意識を取り戻した少女は、血の付いた長い髪をバッサリ切り、無事にお師匠さんのもとへ戻りました。
お師匠さんによる試用試験は合格、少女の『キノ』としての誕生、という話にみえました。
というか、すべては、お師匠さんの予見通り、だったのかも。

あと、“この一件があったから、キノ(元・少女)は、のちに旅に出ることになった”という話にもみえました。と、これはそういう話か。
もし、この一件がなくて、少女が罪悪感を抱えたまま、『キノ』という新しい名前に違和感を覚えながらも、何事もなくそのままお師匠さんのもとで暮らしていたら、旅には出ずに、ずっとそのままお師匠さんのところで暮らしていたのかも。
いや、でも、「これをやらないと、何もできないと思うんです」と言っていた少女が、そのまま成長して生き続けていくのは、つらいのでは? 「足につながっている重い鎖を断ち切らないと、何もできない!」と思いながらも、そのまま歩き続けなきゃならないのはつらいのと同じように。
どこかで断ち切らないと、前に進めないように。
だから、この一件があって、よかったのでは?と思いました。

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余談:少女の元の名前について

現・キノが、少女だった頃の名前は、伏せられているようで、いろいろな憶測もあるようですが。
でも、キノ自身が「もう忘れた」と言っているなら、もうそれでいいのでは?と思います。
てか、おそらくキノは、意図的に「忘れた」のでは? その名前は、自分のことを殺そうとした両親が付けた名前だから、もう思い出したくもない。それに、その名前だった時の自分はもう死んだ、今は『キノ』という新しい名前で新しい人生を生きていくことにした、というなら、キノの意思を尊重して、詮索はしないなあ。
ちなみに、『キノ』という名前、本当にいい名前だな、と思います。短いけどインパクトのある、響きのいい、素敵な名前だと思う。

『塔の国 -Free Lance-』

画は、第1作目(2003年版)と同じで、淡々と旅をするキノ。

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塔を建てるだけという国。
国の収入源は何? 宿もない国だったので、塔が観光用というわけでもなさそう。実は、塔の先が、宇宙につながっていて、宇宙ステーションになっていて異星人と貿易していたりして?(と、そこはこの話の問題ではないか)
いやいや、『空のつっかえ棒』説も、相当、すごい発想だと思いますが。言い出したのはエルメス
はたからだと、どう見てもおかしい、この国。
でも、塔が崩れて、みんなが喜び(ええ?なんで?!)、また最初から塔を造るぞ!ということになり。
「こんなの、おかしいですよね?!」と訴える少年に、「僕には分かりません」とあっさりかわすキノ。おお、一貫して、国には干渉しない立場。ある意味すごい。
他の国、他の人の考え方などを、自分のモノサシで測って、頭ごなしに「おかしい!」「変だ!」などと否定することなんて、無意味なんだな、と。それは個々の考え方や趣味でも同じ。
最後にキノは、「レンガに色を付けたり、彫刻をするのはどうでしょう」などと、他の案を言って、その国を去りました。
たまに国の人に助言したり、代替案を言ったりするのは、キノの気まぐれかな?
ラストにちらりと映った、立派な装飾。あの夜這い……あの疑問を持っていた少年が、生涯かけて、いろいろデザインを考えたりして作り続けたのかな?と思うと、少しはすくいのある話だと思いました。
ちなみに、キノの寝込みを襲うと、撃たれますので要注意。てか、昼間からずっとキノの後をつけてきて、夜にキノが休んだ後にこっそりドアを開けて忍び込んでくるって、どんだけ怪しい人物かと思いきや。いやいや、命知らずな少年だな。
でも、キノには、鍵のかかる部屋を貸してあげて……。

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あ、キノらしき旅人が通りかかった!
「旅人さん! 今さらキノの旅(アニメ版)にハマって観てるなんて遅い、変だって思われてるんです、そんなのおかしいと思いませんか?」
「僕には分かりません」
「……え?」(おかしいって言ってよ! 主役でしょ!)
「でも、アニメ版だけでなく、原作本を読むのはどうでしょう」
と、原作本の告知をちゃっかりして、その場を去るキノ。
おお、そうか、原作本もあったのか、と沸く周りの人々。アニメなんて観ないけど、本なら読んでみようか、となるその場の人々。

と、私はまだ読んでいませんが。

❰おわり❱