夏魚、空を行ってみる

アニメ好きによるアニメ感想、つぶやき、空想など

アニメ『キノの旅』2003年版 総感想 世界は美しくなんて、ない……

2003年放送のアニメ『キノの旅』(第1作目/全13話)を、気になってしまったので、ざざっとですが観てみました。
2017年版とは、雰囲気が随分と違うので、ちょっとびっくり。
総合的な感想をちょっとだけ。
※ネタばれはできるだけ避けています。

ちなみに、『キノの旅』は、原作未読、2017年版のアニメから参入です。
2003年版のアニメ作品は、“第1作目”と呼びます。

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世界は美しくなかった。

『世界は美しくなんてない』というキャッチコピーが、この第1作目を観る限りは、「うん、その通りだよね、こんな世界、ヒドイし、残酷だし、人間は愚かで醜い生き物だし、もうこんな世界、滅びちゃえばいいのにね、というか、もう滅びるよね、というか滅びてしまえ」、と思ってしまった。
『それ故に、美しい』とは思えなかった。
そんな話が多かった、というか、強く印象に残った。後からジワジワとくるものがあったり、生きている人間の貪欲さやエゴ、醜さをまざまざと見せつけられたり。
でもなぜか、惹きつけられるものがあり、いろいろ考えさせられたり。

キノは幼いまま?

キノは、“10代半ばの人間”のはずだけど、第1作目のキノは、11~12歳の時(『大人の国』の時)から大きくなっていない、同じ年くらいのままの感じがした。喋り方や声も、10代半ばにしては、なんだか幼い感じ。
そのような作風なのかな?
それとも、2003年当時は、まだキノは旅に出たばかりで幼かったのかな?
2017年版くらいに、もう少し大きくなったキノが見たかった。

あと、キノは一貫して少年にしか見えませんでした。でも、けっこう前半、第4話で過去話が。もし、この第1作目が初見だったら、「え?ええー?!」と混乱しまくっていただろうかと。その前に、第2話で「ええ?! キノの旅、終わっちゃう?!」と、いちいちハラハラしてたかも。

お師匠さん&相棒さん、フォト、ティー関連の話はナシ。

シズさんは、『コロシアム』の話で出てきただけで、その後の出番なし。
「あれ? シズさん&陸さん、そういえば、『コロシアム』の時だけだったな?」と、ちょっと物足りなかった。陸さん、簡素な感じでセリフもほとんどなし。でも、陸さんとエルメスがやっぱり初対面でバチバチだったのが可笑しかったり。
2017年版に入っていたような、お師匠さん&相棒さんの過去の話、フォト、ティーの出番もなし。
でも、これは『キノの旅』だから、キノが主人公(というか視点者)としての話が主要なのでいいのか。

旅に出たくならない。

“人は、空を行く鳥を見ると、旅に出たくなる”という言葉が何度か出てきたけど、オープニングなどに、鳥の描写はちょっとだけ。
2017年版では、オープニングから「旅っていいなあ」「鳥っていいなあ」とか思ったけど、第1作目は「旅に出たい」という気にはならなかった。
それよりも、「世界って、思っている以上に怖い所なのかも」「人間って本当は、思っている以上に根深く恐ろしい生き物なのかも」などと思ってしまった。
私はもともと、世界や人間のことを不信に思ってしまっているし(いろいろありまして)、自分のこともけっこうダークだと思っているので、余計に絶望的なくらいに「世界って……」と思ってしまった。あ、あれ、逆効果?!

エルメスについて

エルメスが時々、機械ゆえなのか、無邪気さ、残酷なことを言うので、ぎょっとしたりした。
でも、それが、モトラドの考え方(?)なのか。
あと、エルメスが、キノの『大事な相棒』ということが、すごく感じられた。
二輪車が喋るのか?!」というところは、もうツッコミしません。むしろ、「エルメスが喋れてよかった!」とさえ思った。
二輪車は機械だから、AIなんかが搭載されていて喋れるし思考などはある、でも犬は動物だから「犬が喋るわけないだろ」(と、キノが第1作目では言っていた)、みたいな世界かな?とか。

“旅人のキノさん”(大人の男性)について

こう言ってはなんですが、“旅人のキノさん”にとって、そもそも運の尽きだったのは、『大人の国』に旅に来て、たまたま少女に声をかけて、少女の家の宿に泊まることにした、ということかな、と思ったり。
どこの国へ行くか、誰に声をかけるか。そのちょっとした選択が、のちに、自分の命さえも左右するのかも、と思うと、運は自分ではどうしようもないから、ちょっと怖いな、とか。
ちなみに、“旅人のキノさん”は、個人的な勝手なイメージですが、第1作目のほうが、それらしい感じがしました。丸メガネに長髪、旅慣れた感あり、ちょっとくたびれた感もある、ちょっと年を取った大人。
どちらにしろ、キノさんが不憫でした。
でも、キノさんのおかげで、少女は助かって生きのびたと思うと……。

『優しい国』について

2017年版では、何度観ても泣けたのですが、第1作目ではそんなこともなく、あっさり終わってしまった感じがしました。
国の人々が、一瞬、素に戻ったような表情をしたり(理由は……なんですが)。国の人々が、無理に“優しく”振る舞っているような印象でした。「やっぱり、事前情報のように、悪評高い、排他的な、ひどい国だったんじゃないか?」とか。“最後の3日間”にやってきた旅人のキノに対してだけ、そのような“優しい”態度を取るのは、やはり、結局はきれいごとなんじゃないか、などと思ってしまいました。
出国した後の、キノの「エゴだよ」も、国の大人たちに言っているような感じがしました。「どのみち、2人乗りで旅は無理さ」とエルメスが言ってくれなかったら、キノは国の人たちに対して言っていると思ってしまったかも。
あと、さくらちゃんが若干、かわいくない……(ボソッ)。

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総合的に

原作は未読なので分かりませんが、こちらの第1作目のほうが雰囲気的には原作に近いのかな?
キノの旅、って、こんな感じなのかな?」と思ったり。
でも、これだと『the Beautiful World』の解釈ができないままかな?と思った。『世界は美しくなんてない』、うん、その通りだよね、人間って、愚かで醜い生き物だよね、そういう世界だよね、と思ってしまうかも。
『それ故に~~』とは思えないかも。
2017年版では、「なるほど、世界ってthe Beautiful Worldなのかも」と思いましたが。
でも、2017年版では、フィルターがかかったキレイな部分だけを観ていたのかも、と思ったり。

ちなみに、第1作目の中で、2017年版の画で観たい話を挙げると、
・第2話『人を喰った話 -I Want to Live-』
この話自体は、本当に救いようがないけど、このくらいエグい話があってもよかったかも。“こういう世界(話)もあるから心構えしておいてね”みたいな。
そういえば、2017年版では、キノは人間相手の殺しはしていなかったか(『コロシアム』は例外なので除くとして)。狩猟をしてさばくシーンもあり、でもそれは自分のためではなかったので、「同じ目に遭った時に、他人に期待する甘えがあったのかも」という言葉にハッとしたり。
キノ(ちょっと大人の15~16歳くらい?)が、人間相手の攻防の後、「こわかった……」は、そのギャップに余計にウッとくるかも。
ラストの「~~~僕らは、人間なんだ」も、言葉だけで突き刺さるだろうな。
・第11話『彼女の旅 -Love and Bullets-』
それぞれがとても印象的で考えさせられる話、2017年版の画で観たい。ラストのキノの言葉「彼らとは決定的に違っていることがあるよ。~~~」も、どんなふうに言うのか聞きたい。ここ、大事なところ! テストに出ますよ!(←出ませんw)
・第12話『平和な国 -Mother’s Love-』
ちょっと大人になったキノ(15~16歳くらい?)が、年配女性の館長に「あなたがもう少し年を取れば分かりますよ。あなたが~~~」と言われた時に、もっと身近な問題としてどう受け止めるか、どう反応するのか、というのも観たい。酷い話だけど。でも、キノに情で訴えてきた館長、キノに言うのはズルいというかヒドいというか。それでも、キノは心のどこかで「今は分からないけど、もしかしたら自分もいずれは……?」と思ってしまったのかな。
そして、追い打ちをかけた、その後の出来事。理不尽すぎて、残酷すぎて、観ていられない(←観たいと言いながら;)。うぅ、その時の動揺したキノがもう痛々しすぎて。
ラストは、冒頭の森の中のシーンにつながるのかな?
でも……キノ、こんな世界を、それでも『美しくみえるんだ』と思えるのか……。
キノには、森の中で野宿ではなくて、城壁の中の、安全が確保された部屋のベッドと、毒入りではない温かい飲み物を用意してあげて……(なんか泣けるな)。

余談:旅について

ちょっと真面目な話。
キノの言う、旅での『シャワー付きのベッド』の大切さは、よぉく分かります。
身の安全が確保できて、ゆっくり眠れるような場所。ふかふかじゃなくてもいいから眠れるベッド。
身の安全が確保できる場所で、武器を持てない状態でのシャワー。
これ、意外と確保するのが大変だったりする。
特に女性は。
女だからこそ、かな。
男は別にかまわないだろうけど、女という性別は、本当、その確保が大変。そういう性(さが)なんですよ。
なので、「行き詰ったら、旅に出ればいい、寝袋あればOK」とかは、女性にはお勧めしません。特に若い女の子、無茶しないで。
あと、冬はやめたほうがいい。
『人を喰った話』のように、へたすると、雪で足止めくらい、食料尽きて、食料確保できない、夜は寒すぎて凍死するかも。
寒さや雪とかは、本当に勘弁。
そんなもの、できれば知らなくていい。
「へ~、雪って、どんなふうなの? 空から降ってくるなら、かき氷が作れる?! シロップ用意しなきゃ! いちご味? ブルーハワイ?」くらいに、無邪気に思ってるくらいでいい。
てか、ブルーハワイってなんだよ、何味だよ、意味分からん。

『旅で大事なことは、命をなくさないことです。』

この言葉、お師匠さん(女性)の言葉でしたか。
旅=人生、と置きかえても。
なかなか難しかったりする。

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余談:もしも機械が喋れたら

パソコンやケータイ、時計、バイクなんかの機械が喋れたらいいのに、とは思います。てか、そのうち技術が浸透して、機械も喋れるようになるんじゃないかな。
例えば、スマホに、エルメスならぬ“ルイ・ヴィトン”と名前を付けたとして。
「ルイ、疲れた。私はもう寝る。明日のアラーム、頼んだ」
「分かってるけどさ。てゆーか、夏魚さん、今日も誰からも電話も来ないし、メールだってメールマガジンばっかりだったよ」
「いちいち報告しなくてもいいよルイ、ぶっ壊してやろうか」
「そうやって脅したって無駄だよ。壊したら修理代がかかっちゃうからね。そんなお金も出し渋るくせに」
「……ルイ、明日の朝は、ちゃんと起こしてよ」
「これ以上、なんて言えばいいのさ? ボリューム最大、ありとあらゆる罵詈雑言をアラーム音にしたって、起きようとしないくせに」
「ルイ、朝起きる時の絶望的な気持ち、分からないでしょ」
「うん、それは人間の病気みたいなものだね。でも、もし本当に起きなかったら、どうする? 霊柩車、呼ぶ?」
「……救急車」
「そう、それ」
「いや、別に、どっちでもいいや」
「だめだよ、フランス人形になっちゃったら、周りの人に迷惑がかかるよ?」
「…………腐乱死体」
「そう、それ」
「分かった、頼んだよ。おやすみ、ルイ」
「おやすみ、夏魚さん」
……みたいな。
機械の“性格の設定”とかもできればいいかも?
と、なんだかむなしくなってきたので、このへんで。

❰おわり❱