夏魚、空を行ってみる

アニメ好きによる感想、空想、つぶやき。

『君の名は。』(新海誠監督/2016年)感想1 ~考察と推測メモ編~

大ヒット映画『君の名は。』について、随分前に映画館で観たおぼろげな記憶と当時のメモを頼りに、書いてみたいと思います。※ネタばれ前提です。

その1~考察と推測メモ編~と、その2~感想と個人的ツッコミ編~の、2つの記事に分けました。
では、その1~考察と推測メモ編~です。

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宮水家についての基本情報(推測混じっています)

宮水家が女系なのは、確実に『血筋』(『入れ替わり』の能力を持った巫女の血)を残すためではないか?と思いました。
ジブリ映画『魔女の宅急便』で、「どうして魔女は空を飛べるの?」と魔女のお母さんが聞かれた時、「魔女の血で飛ぶのよ」言っていた言葉に、「なるほど!」とストンと納得しました。『血』に脈々と『不思議な力』が宿るのかな、と。
なので、女系なら子供を産むのは女なので、100%、『血』が残せます。その『血』が1000年以上に渡って脈々と受け継がれてきたのです。もしも男系なら、どこかの世代で、他家から嫁いできた妻がひそかに夫(当主)以外の子を産んでしまい、その子を次期当主として育ててしまったら……となると『血』が途切れてしまうので。そう考えると、宮水家が女系というのも納得です。

◉三葉から見た、宮水家の名前。まぎらわしいのでメモ。※年齢は2013年当時
 祖母:一葉(82歳)
 お母さん(既に他界):二葉
 三葉(17歳)
 妹:四葉(9歳)
と、いうことは、例えば、『一』から『百』まで順々に名前が付けられるという宮水家のルールがあり、お祖母さんの前の代は、もしかしたら、……『九十八葉』『九十九葉』『百葉』だったかもしれません(←名前長すぎ?!)。
それとも、この名前のルールは、彗星が近づいてきた年代の期間限定のルールなのかもしれません(←こっちのほうが自然かな?)。

◉三葉のお父さん(町長)について
三葉のお父さんは、宮水家の婿でしたが、三葉のお母さんが死去した後、宮水家から出て行きます。でも、町長選の時に、『宮水としき』と名乗っていたので、宮水家を離れても、旧姓に戻さなかったようです。由緒ある神社の家である宮水の名前を名乗ったほうがこの町の選挙には得だから?と思ったのと同時に、「姓を変えないでいるのは、三葉たち娘や三葉のお母さんのことを少しは想っているのかな?」とも思いました。映画版では、三葉の視点からしかお父さんは描かれていないのでお父さんの心情は分からなかったのですが(三葉は「お父さんは私たちを置いて家から出て行った、私たちはお父さんに捨てられたんだ!」とお父さんを憎んでいました)、小説版で、数行だけ、お父さんの心情の描写があり、「え?! お父さん、そんなこと想っていたのか?!」「娘の三葉のことを、そんなふうにみていたのか?!」とビックリ&グッときてしまいました。
あの隕石落下の日、三葉がお父さん(町長)を説得できたかどうかについては、映画版を観た限りは「もしかして、説得できなかったんじゃ……?」と思いました。説得のシーンもなかったし、すぐに隕石が落ちてきて町が破壊されるシーンになり、「町の人たちが避難する時間なんてあったのか?」も疑問でした。三葉(や瀧)の視点からのお父さん像は、家庭を捨てた酷い父親、娘である三葉(中身は瀧)に「おまえ、誰だ……?」「今すぐ精神科で診てもらいなさい」などと言う冷酷で非道な父親でした。しかし、お父さんはお父さんなりに思うところがあったようです。お父さんの心情が映画版に少しでも描写されていたら、「このお父さんってそれほど酷い父親というわけではないのかも?」「娘の三葉の様子がおかしいと感じて、最後の最後には、三葉の説得に応じたのだな」と納得することができたと思います。映画版の中でのお父さんは、本当に悪役にしか見えませんでした。

新海監督が書いた原作小説本とは別の、原作版を補足・補填したという位置付けの小説『君の名は。 ~Another Side : Earthbound』(加納新太著/角川スニーカー文庫)に、三葉のお父さんについてや、お父さんとお母さんの馴れ初めなどのことが詳しく描かれているそうです。私は、こちらの特別編の小説は未読なのですが、その内容をちらりと紹介しているサイトなどを読んだら、もうそれだけで涙出ました。というか、こちらを読むと、全然映画の印象は違ってくるかも?と思いました。

 

この際、お父さん、三葉に言っちゃえ! 隕石落下という事件はある意味、三葉と和解するきっかけとなったのではと思います。 ※空想入ります。
 三葉「だってお父さん、お母さんが死んだ後、家、出て行ったじゃない! お父さんは私たちを捨てたんでしょ!」
 お父さん「いや、違うんだ! ……おまえのお母さんが死んでしまったらもう宮水家にいる意味はなかった。それに、成長して、おまえのお母さんにどんどん似てくるおまえを見るのがつらかったんだ。かといって、遠くへ逃げて知らん顔することもできなかった、この町でおまえの成長を見守ることしかできなかったんだ、……すまなかった」

こんなゴテゴテ言わなくても、本心が伝わる短い言葉でいいんです! とにかくお父さん、今すぐ三葉にちゃんと伝えてください!

 

時系列について、単純な図にしてみる

時系列については、いろいろと説がありますが、とりあえず、①「隕石落下により町の人々や三葉が犠牲となった時系列」と、②「瀧と三葉の奔走によって、町の人々や三葉が生き続けた時系列」に絞ってみました。

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時系列①の世界は、2人の『入れ替わり』が起きていた時系列ですが、三葉や瀧は『入れ替わり』を楽しんでいた(?)だけで、特に何も行動していなくて、『隕石落下により多数の犠牲者が出た』という世界です。三葉は2013年の隕石落下時に亡くなっています。

補足:原則として、時系列①の世界と時系列②の世界は、全く別の世界です。たとえ同じ年(2016年)にいたとしても、行き来や交流はできません。時系列①の2016年にいた瀧が、ある日を境に突然入れ替わりが途絶えた三葉に、思い切って電話をかけますが、時系列①の2016年の三葉は、既に亡くなっているので、電話は通じません。もちろん、時系列②の2016年にいる三葉(20歳)に電話が通じることはありません。

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時系列②の世界は、『隕石落下による犠牲者は出なかった』という世界です。時系列①の2016年の瀧が、3年前の隕石落下の災害の史実を知り、三葉や町の人々を救うために、三葉たちと共に奔走し、町の人々を避難させることができました。三葉は、2013年以降も生き続けています。『隕石落下による犠牲者多数』という時系列①が消失し、時系列②へ移行しました。


ここで、時系列①に存在したものが、時系列②には存在しない、という現象が起きます。
時系列①の世界に存在した、2016年の時点で瀧が飛騨市の図書館で見た『2013年の隕石落下による犠牲者名簿』は、時系列②の世界には存在しません。
代わりに、時系列②の世界に存在したのは、2016年の時点で、瀧がおぼろげな記憶を頼りに図書館で探して見つけた、『2013年の隕石落下による犠牲者は奇跡的に出なかった』という新聞や雑誌の記事です。

しかし、瀧と三葉たちの活躍による、時系列①の世界の消滅と共に、瀧の時系列①の時の記憶もなくなります。三葉に関する記憶も消えてしまいます。瀧は、「記憶が消えてしまった」という曖昧な記憶を頼りに、図書館で『隕石落下』について新聞記事や雑誌の記事を調べますが、その後に、実際に現地に行ったりするなど、具体的な行動はしません。その事件は「なんとなく引っかかりをおぼえる災害」という程度になっています。せつない……。

 

“入れ替わり”“記憶操作”など、裏で操っていた偉大な存在を、『宮水の女神様』のせいだと空想してみる

“入れ替わり”などの人知を超えた不思議な力が働いているのですが、その力の大元は、宮水神社の御祭神(女神様をイメージ)ではないかと空想してみました。
その宮水神社の女神様を、仮に『宮水の女神様』と呼びます。
水の女神様の目的は、『宮水家の巫女に、数年先を生きる人間と入れ替わりをさせて、1200年周期にやって来る彗星の隕石落下による犠牲者を出さないようにする』、そして『宮水家の血筋を絶やさずに守る』こと。

水の女神様は、三葉のお母さんの代あたりから、“そろそろ、彗星が来るのね?”と、着々と準備をします。
三葉のお母さんの代あたりから、数十年間に渡って裏工作し、そしてついに彗星がやって来る2013年に、三葉に“入れ替わり”をさせたり、三葉や瀧の記憶の操作をします。

水の女神様による記憶の操作と思われることは、
“入れ替わり”後、もとの自分に戻ったら、“入れ替わり”の間の記憶を消す。
 →もともと“入れ替わり”は、自分の睡眠中に起こるので、朝起きたら、「夢か……?」と思う。
“入れ替わり”の間に、もし時間の違い(3年の時差)に気付いても、その疑問ごと、記憶を消す。なので、もしカレンダーやテレビなどで「あれ? 今年って……?」と疑問を持ったとしても、その記憶も消す。
 →瀧も三葉も、日付の微妙な違いはこの際、疑問に思っていなかったようです。

その他にも、いろいろと都合の悪いことは、記憶を消したりしていたようです。
と、いうよりも、あまりにも都合よく、瀧が「記憶がない」「(その出来事を)知らない」という場面があるので、全て宮水の女神様の記憶の操作ということにしておきます。

三葉のお母さんを病死させたのも、宮水の女神様のしわざでは?と思いました。
 三葉に何かあった時のための保険(?)として、三葉の妹の四葉を産ませた後に、三葉のお母さんを病死させた。
  ↓
 お母さんの死去により、お父さんを宮水家から出させて、のちに町長にさせた。
  ↓
 お父さんを、隕石落下時に町の人々を避難させる立場につけさせた。

こう見ると、宮水の女神様、恐るべし……。男性陣(瀧や三葉のお父さん)は、目的のために、単に利用されただけ?!

◉宮水の女神様が、ティアマト彗星の隕石を呼び寄せている?!という空想。
1200年周期という、人間から見ると途方もない年月をかけて太陽系(というより地球)にやって来るという、ティアマト彗星。そして、毎回、この広い地球上で、日本の小さな町、糸守町をピンポイントに狙って落ちてくる隕石……宮水の女神様が「ここよ!」「こっちこっちー!!!」と、呼び寄せているような気がしてなりません。

糸守町周辺に落ちてきた年号(西暦)。 ※あくまで推測です。
 前々回:紀元前2000年頃、隕石落下。その場所に『御神体』が設置される。
 →まだ文字が存在しなかった時代?なので、文献などはなし。御神体の内部に彗星の壁画あり。
 前回:813年(平安時代初期)、隕石落下。『糸守湖』誕生。
 今回:2013年、隕石落下。『新糸守湖』誕生。←三葉の“役割”の回。
そして、次回は、3213年。それまでに地球が存続しているかどうか、人類が地球に生き残っているかどうかは分かりませんが……。

ティアマト彗星の描写(軌道など)は、「(天文学的、物理的に)間違っているのでは?」「太陽周回軌道じゃなくて地球周回軌道の彗星? 周期が1200年って長すぎなんじゃ……?」などという声もありますが、深くツッコまないことにします。

 

どうして瀧だったのか?

ずっと気になっていたのですが、三葉の“入れ替わり相手”に、「どうして瀧が選ばれたのか?」ということ。ですが、劇中ではそのエピソードは全く出てきません。
『前世からのつながりがあった』とか『他でもない瀧が、三葉の運命の人だった』という具体的なエピソードがあってほしかったです。しかし、そういうエピソードは一切なし。

と、いうことは、完全に、三葉サイドの宮水の女神様がランダムに選んだだけ、という気がします。
誰でもよかったんです。数年先を生きる男子で、三葉と同じくらいの年齢なら、誰でも。瀧が選ばれたのは、本当にたまたまだったわけで。
三葉が神社の鳥居の下で叫んだ、「来世は東京のイケメン男子に生まれ変わりたーい!」という要望を、宮水の女神様は聞いて、分かったわ~、と条件の合う男子をピックアップしました。
少し先(3年先)に、高校生(17歳)になる男子。
 →「糸守町に隕石が落ちて、死者多数」という出来事を知ってもらうため。数年先の、“犠牲者名簿が完成した後”“災害の復興が少しは進んだ”という年月が経ったくらい(3年)がちょうどよかったのかも。
東京に住んでいる男子。東京生まれ、東京育ち。新宿渋谷近辺の山手線内に居住(三葉の『東京』のイメージだと、その辺りかな?)。←ここでけっこう絞られるかも。
三葉好みのイケメン。←個人的には司のほうがツボ(←誰も聞いていませんw)
スポーツ、美術、その他何でもできる男子高校生。現在、彼女なし。←ここも絞られるかも?
三葉のお父さんと対峙できるような、気の強さを持ち合わせている。
入れ替わった三葉のことを好きになってくれて、糸守町までわざわざ実際に調べに来てくれる、行動力、情熱、金銭的時間的精神的余裕がある。←ここも大事。
三葉と同じiPhoneシリーズのスマホを使っている。
『お母さんがいない』という、三葉と同じ家庭環境。
……などなど。

そして、最終的に、白羽の矢が立ったのが、瀧でした。
ただ、それだけです。
なので、『入れ替わり相手が他の誰でもない、瀧だった』というエピソードも、もともとないのだと解釈しました。

後から思うと、瀧はただ、宮水の女神様からランダムに選ばれただけの使い捨てのコマのようで、振り回されただけで、ちょっとかわいそうだな、と思ってしまいました。もし選ばれていなければ、今まで通り普通に東京ライフを送っていたと思います。消えた記憶による喪失感を抱えて過ごすこともなかったはず。普通に、高校生活や大学生活を楽しく過ごしていたはずです。
『町の人々を隕石落下から救うことが目的』だった宮水の女神様は、瀧と三葉の奔走によって、無事に町の人々を避難させることができたので、瀧には「あなたもう用済みだから、ありがとうね~」とばかりに、瀧を東京へ送り帰します。その後のフォローなどは一切しません。瀧が喪失感にさいなまれているなんて、おかまいなしです。そして、次の1200年後の彗星が来るちょっと前になるまで、再び御神体に戻って鎮座(?)します。
なんだか……やっぱりちょっと迷惑な女神様ですね;

まあ、でも、『御祭神が女神様』という場所は、「カップルで行くと別れる」というジンクスがあるようです。なんでも、女神様がカップルに嫉妬するからだそうです。
江の島や井の頭公園の池のボート(どちらも弁天様が祀られています)とかに、カップルが浮かれてデートで行ったら……のちに別れてしまった、という話は有名です(都市伝説??)。
補足:弁天様(弁才天)は、七福神の一員で、その中では唯一の女性の神様です。

 

瀧と三葉が“あの時”に、時空を超えて『会えた』、条件やアイテム

◉三葉が3年前に瀧に渡した組紐を、瀧がずっと持っていた。“あの時”の現場でも持っていた。
「三葉が東京へ行き、当時中学生(14歳)だった瀧に、組紐を渡し、その組紐を瀧がお守りのようにずっと持っていた」というエピソードは、中盤になって出てきたので、「ええ?! そうだったの?!」と、ちょっと後出しジャンケン的な感じがしました;
◉瀧が、三葉製の口噛み酒を飲んだ。
 瀧は、「もう一度、時間が戻るなら――!」と、切実に思いながら三葉の口噛み酒を飲みました。
 でも。潔癖症じゃなくても普通なら無理;; 三葉の「ええ?! あれ飲んだの?!」という反応が正解?!
 あと、瀧が「隣に置いてある妹の四葉製の口噛み酒を間違って飲んじゃったらどうしよう?!」と少しヒヤヒヤしました(←台無し?!)。
御神体のある『あの場所』。
 推測なのですが、他の場所、例えば東京では発動しなかったと思うのです。
◉『カタワレ時』(黄昏時、夕暮れ時)。
 おそらく必然的にこの時間帯だったのだと思います。
 古典の教師のユキちゃん先生の授業で、『誰そ彼(たそかれ)』(黄昏時、夕暮れ時)の説明をしていた時に、生徒に、それって『カタワレ時』って言うよ?と言われた時に、この地方の方言ではそうとも言います、のように解説していました。夕暮れ時のことを『カタワレ時(片割れ時)』と言うのは、この映画のオリジナルのようです。
追記:『黄昏時』のことを、『逢魔時(おうまがとき)』とも言いますが、『何やら妖怪、幽霊など怪しいものに出会いそうな時間』《Wikipediaより》。あの時に現れた三葉が幽霊とは言いませんが、本来、出会うことのできない瀧と三葉が、その時間帯だからこそ出会えた、というのは、納得です。

 

❰つづく❱

 

 『その2』はこちら:

natsusakana.hatenablog.com