空想編『ベラと野獣』

“ベラと野獣”が、どうにも頭から離れなくて。
なにげなく引き合いに出してしまったベラにシバかれそうなので、書かなきゃと思い。

元記事はこちら:
natsusakana.hatenablog.com

ちなみに、『妖怪人間ベム』の昔の名作アニメ自体は観たことがないのですが、「早く人間になりたい!」の台詞で有名なので、存在自体は知っていました。
近年、実写化された連続ドラマ『妖怪人間ベム』(2011年/ベム:亀梨和也さん、ベラ:杏さん、ベロ:鈴木福くん)を観て、“妖怪人間”の哀しい運命に、せつなく思ったり。それでも、正義の心を持ち、邪悪な妖怪から人間を救う姿に胸を打たれたり。そして、その醜い容姿から、救った人間から恐れられたり迫害されたりするけど、ベムたちの本当の心を分かってくれた人間との間に友情が芽生えたり。

そんな、世界観を、イメージですがお借りしました。

『ベラと野獣』

ベムたちとはぐれてしまい、野獣の城に迷い込んでしまったベラ。
城に入り込んだベラに気付いた野獣は、ベラに攻撃をしかけた。ベラは思わず、反撃した。
その時から、ベラと野獣の壮絶な戦いが始まった。
戦いは数週間に及んだ。城内の柱や家具類がことごとく壊された。戦いは、城の外の庭でも繰り広げられた。庭の木々や塔も壊された。
しかし、ある時、ベラの攻撃で、野獣が負傷してしまった。
ベラは、野獣をかついで城の中に運び込んだ。毎日、陰からハラハラと見守っていたポット夫人たちの助けを借りて、ベラは野獣の傷の手当てをした。
野獣は意識を取り戻した。献身的に手当てをするベラを見て、少し戸惑った。
「……何をしているのだ?」
「見りゃあ分かるだろ」
ベラはそう言い捨てた。それから、悪かったな、とつぶやいた。それから野獣に言った。
「あんた、強いじゃないか。本当は、化け物なんかじゃないんかい?」
野獣は少し驚いて、ベラを見た。
「おまえこそ、強いではないか。人間ではないみたいだ」
「ああ……実は、アタシは人間じゃないのさ。いつかは人間になりたいと思っているんだけどな。おっと、しゃべりすぎたな。こんなこと言うなんて、アタシもどうかしたかな。本当のことを話したって、誰も分かっちゃくれないんだけどな」
「そうか……おまえもつらかったのだな。分かるぞ、その気持ち」
「何が分かるっていうんだい!」
「悪かった。おまえはいい奴だ」
野獣はベラをじっと見た。
「おまえはもう、立派な人間だ」
「なぐさめはよしなよ」
ベラは野獣の腕を軽く叩いた。

その後、一緒に夕食を取ることになった、ベラと野獣。
久しぶりに、穏やかな時間が流れた。
しかし、ベラは、ポット夫人に、野獣の正体を聞かされる。野獣は本当は人間で、実は魔法によって野獣の姿に変えられてしまったのだ、と。

それを聞いたベラは、その夜、そっと城から出て行こうとした。
そこへ、野獣が現れた。
「ベラ、行かないでくれないか」
野獣はベラの腕をつかんだ。
「おまえがよければ……ずっとここにいてくれても、いいのだぞ」
「よしなよ」
ベラは野獣の手を振り払った。
「そんなことしたら、たぶん……あんたは人間の姿に戻ってしまう。アタシは、あんたが今のまま、野獣の姿のままのほうがいいのさ」
「ベラ……」
「それに、あんただって、若くて美しい女のほうがいいだろ。そういう人間の女と、一緒に生きていったほうがいい」
「ベラ、おまえは美しい」
「よしなよ!」
ベラは野獣に一撃をくらわせた。
野獣は気を失って倒れた。
ベラは気を失った野獣の顔をそっとなでた。
「いつかもし、アタシが人間になれたら、あんたのところに戻ってくるさ。いつになるか分からないけどな。でも必ずあんたを見つけるさ。じゃあな」
そして、ベラは城から静かに出て行った。
月の光だけが荒涼とした城と森を照らしていた。

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あとがき

なんだか、妖怪人間・ベラと、野獣のほうが、純粋にお似合いのような気がしてきた。“実は野獣は王子で……”という、いかにもな設定もナシ。野獣は野獣のままで。

なんて……勝手な空想でした。

❰おわり❱